na2kox's diary

熱しやすく冷めやすい人間の生産性のないくだらない日々を綴る備忘録です。

第10話「開く過去の扉」

笹垣ノートと最低限の敬意と誠意
そのノートは、あいつの血と肉で出来ていた。
だから、こんな殺し方をしたらいけないと思ったんだ。
せめて、あいつの血と肉にまみれて殺したかったんだ。

笹垣のノートを屋上でたった1人で読みながら「すげぇ・・・」と呟いて、必死に堪えるように泣く亮司。悲しいとか切ない痛いとかそんな簡単な涙じゃない、感情の入れ混じった複雑な涙。山田の泣きの演技はいつもつられちゃって仕方ない。

「涙出るほど嬉しいんじゃないの?その男に気付いてもらった幽霊は」

典子に言わせたこの言葉。そうきたか・・・と震えた。笹垣と亮司の関係性が一気に濃くなった。たった1人幽霊の存在に気づいてくれていた笹垣に対して、血と肉にまみれて自分の手で殺さなくてはならないと亮司は思ったわけですよね。ふと気持ちが変化するその表情の動きは痺れた。

本当の罪は心と記憶に下されると伝えてくださいとそう残した亮司が、やっぱり最後まで自分の心と記憶に鮮明に残る方法で殺める事に。きっと亮司の最低限の敬意と誠意だったんですかね。
亮司は甘い。けど、そこが亮司なんだろうな。そしてそんな亮司を笹垣は解ってた。

愛し方がわからないふたり
俺は俺なりに、あなたを明るい所に連れ出そうと思っていたんだよ。
だけど連れ出そうとすればする程あなたを閉じ込めてしまったね。
今となれば、そんな気もするよ。だけど、ごめんな。分からなかったんだ。
他の愛し方なんて知らなかった。

亮司の愛は、見返りを求める愛じゃないんだよね。献身的な愛。
ただ単に雪穂が幸せになる為にはどんな犠牲も厭わず、自分の死すら覚悟するという究極のもの。雪穂が幸せなら、自分はいつでも死んでも構わない。それが本望だと本気で思ってるわけで。他の愛し方を知らなかった、なんてどうしようもない辛さに涙でますよ。

一緒に歩いていきたい雪穂と、愛しているからこそ身を引き、相手の幸せの為に身を焦がす亮司。永遠に交わる事がないんですよ。永遠にすれ違い。

それに亮司は雪穂と違って、思いっきり自分の手を汚す殺しを何度もしてる。
亮司の性格を考えれば2人で幸せに、なんて気持ちを続けて持てているとは到底思えないし、雪穂の手を汚さなくていいように、と教会で唐沢雪穂に誓ったあの日から自分の愛の行き着く先は決めていた事なんじゃないかと思える。

「愛し方がわからないんです」と泣いていた雪穂。
「亮がいなくなったら私本当にひとりなんだよ?」って言葉は何度も亮司にぶつけていたけど、それだけですよね、気づけば。果たして亮司を愛してたんでしょうかね、男として。戦友だったり、共犯だったり、いろんな愛情はありそうだが、ただどうしようもない我が侭を、甘えを受け止めてくれる父親のような存在を重ねていたような気がしないでもない。

雪穂が「何もお返しできなかった」と泣いたのは、死を感じた上での亮司への思いだったのかな?

堰を切りそうになった抑え込んでいた想い
もし俺がその幽霊の様な人生を送っていたらと・・・
それでも貴女は受け入れてくれるのかと・・・
抑え込んでいた思いが堰を切りそうになる。

このシーン、今回1番泣けた。1番好きなシーン。何度見ても泣ける自信がある。
「ずっと仕事しなくても・・・?」
「・・・いいよ」
「じゃあ・・・そうしよう」
この亮司の表情に、目に、どうしようもなく涙出た。
「じゃあ・・・そうしよう」と言った後の表情、もうほんとに苦しくなるね。凄すぎる。このシーンの感情の揺れ、「そうしよう」の時の必死に抑えた子供のような表情。
自分が選んだ道だから、雪穂の為に、って必死に抑えてた何十年間だったんだろうけど、常に誰かに話してしまいたい衝動には駆られていて。

雪穂の為に強くなる事を決意した亮司だけど、元々の亮司は優しくて賢い子だった。本当はないのに、それじゃ夢がないからってドブに咲いた花が見たい雪穂の為に、紙細工で蓮の花を作ってあげるようなそんな子供だった。本当は傷つきやすくて、誰よりも繊細なんだよな。
弱いままでも、強くなくても、受け止めると言ってくれた典子に感情が揺さぶられるのも無理はないですよ。そんな存在は、はじめてだったんじゃないでしょうか。凄く凄く切ないシーンだった。

<騙される方が馬鹿なんだよ・・・なぁ、雪穂>
「やればできるじゃん」というおぞましい典子の台詞後(おぞましいいうな)
笹垣殺害に向けて典子の元を旅立つであろうシーンでの亮司が言った「騙される方が馬鹿なんだよ・・・なぁ、雪穂」ですけども。
はじめに見た時は、青酸カリの件でもなく、イケた事に対する台詞なのかと思ってた。
でもやっぱり、雪穂の為に笹垣を殺し自分も葬るという最後の仕事の為、典子を求めてしまう、流れてしまいそうになる自分の気持ちを断ち切る為の言葉だったのかな。

<寝たフリ決め込んで爪を噛む雪穂>
物凄い、こえぇ!ホラーだと思いました。
篠塚も、もしや同じ穴に落ちていくんでしょうか。

<笹垣と亮司の対峙シーン>
1話ラストの対峙シーンも相当の迫力だったけれど、今週ラストも素晴らしかった。
亮司と笹垣が対峙すると物凄い緊迫感と迫力がでる。
ふたりとも目の表情、目の動き、全ての表情が恐ろしいほど豊かで、鳥肌。
この2人の対峙シーンは名シーンとして残したい。
笹垣に鋏で襲い掛かる場面での亮司の形相は恐ろしかった。迫ってくるものがあったね。あのシーンの演技は秀逸すぎた。そんでハサミを取り出した時の「シャキーン」の効果音が半端なくかっこよかったな!ドキがムネムネになった。

遂に最終回。どんな結末を見せてくれるのか。しっかり見届けます。
寂しい よ 寂しい よ。腑抜ける よ。