na2kox's diary

熱しやすく冷めやすい人間の生産性のないくだらない日々を綴る備忘録です。

第9話「こぼれ落ちた過去」

どうしようもなく救いのない9話だったけど、現時点で1番好きな回になった。
感動して泣けるとかそういう感情が働く訳でなく、むしろ嫌悪感なのにただただ哀れで、ただただ涙がだだ漏れの回だった。おぞましい。

最期の亮司に任せて義母を捨て去る時の、雪穂の顔が凄かった。
涙は出てるんだけど表情が死んでるの。無表情。
人間究極の状態になると、あんな表情になるんじゃないかと思えた。

そこにきて亮司が「二度目はだめだよ」って更に上をいってる死んだ目で現れる。
このシーン、3人の演技が凄まじ過ぎて、呆然としながら涙だだ漏れ状態だった。
亮司が雪穂の2度目の母親殺害を止めて、1話とリンクするように「行って。どうせできないだろ。行けって。」と諭す。はじめから亮司は殺す事しか考えてなかっただろうね。なんの躊躇もなく、自らの姿を礼子に晒している訳だし。
個人的に、ああ・・・やっぱり亮司は、雪穂のありえない程の我侭をまた聞くんだねと思えて仕方ない。

「正しいことなんて、言われなくてもわかってるんです」
もうそんな感情を通り越してるものね。何が正しいかなんて、2人にとってそんな小さな事は既にどうでもいいし、思考が麻痺してる。生き地獄。
礼子の「2人揃ってこのザマか・・・哀れやなぁ」は本当に凄かった。
2人だったら、何か違う方法があったんじゃないの?そんな気持ちが含まれている気がして。いろんな感情が駆け巡って、思考が麻痺した程。凄すぎる。
ここの礼子と亮司の掛け合いが、表情が、ありえない程だった。礼子の死を受け入れたかのような表情も、亮司のストイックすぎる歪んだ思考も。

これが雪穂のいう「2人のやる事、正当化しまくって生きていこう」って事なんだよな。
「私がやった事は私の為、亮司がやった事は私の為」←偽造。ジャイアンかよ!とか思ったらジャイアンのママが出てきて「うちのタケシの〜」とんだ伏線・・・!
なぜ白夜行はそんなふとした笑いが常にあるのですか。笑えねぇし!笑うけど。

礼子ママは今回神的な芝居でラストは本当に凄いわけだが、その前のサボテンを埋めようとして松浦の死体を発見した後の芝居の方が震えたね。
一瞬で点が線として繋がっただろうに、掘り起こす事はせずに、隠すように、必死で感情を抑し殺しながらサボテンを埋めて。ここは胸が痛かったです。
最期の最期まで雪穂を信じようとした礼子さんが殺されたのは本当にありえない。いやわかってたけど映像で見ると最低だな。本当に石丸Pが言ってたとうりになってるぞ。

しかし随分浅い所に埋めたなぁ。私はそのまま埋まってるのかと思ってたけど、もしかしたらバラバラに埋まってたのかなと今回気づいた。その方が埋めるのは楽だな。
つうか自宅の庭に、なんか埋まってたら、そりゃ失神する程驚くだろうな。

雪穂は何の為に母親が倒れた事を亮司に伝えたんでしょう。サボテンの話をして過去が暴かれたかもしれないと含みまで持たせて。松浦の時のような計算も少しはあっただろうし、これも亮司に対する我侭なんでしょうね。甘え。亮司は雪穂に何も伝えずに笹垣を葬ろうとしていた訳だからね。

ただ、義母に優しい言葉を貰った後に亮司に電話をしている姿から、至って純粋に亮司を愛してきているのかもしれないと思い始めた。常人には理解できない純愛だが。
その反面、亮司はもう感情の揺れがとても不安定。好きだからこそ、もう辛くて、何年もの思いと罪に押し潰されそうになってる。典子さんと出会った事も多少引き金になってる感じが。

今までは圧倒的に、亮司の雪穂への愛の方が強く感じていたんですが、最近私の中では逆転してきてる。松浦を使って亮司をおびき寄せて、写真を投げつけながら雪穂が言った言葉は思ったより重くのしかかってきていて、一生愛している限り、過去は永遠と付き纏う訳で、常に負い目を感じつづけるであろう亮司っていうのは、ある意味雪穂よりも悲惨かもしれない。普通に愛する事も普通の幸せも、亮司にはないんじゃないかと思えた。

9話を見て、決定的に共感も同情の余地も何も出来なくなったわけですが。
やっとこのドラマ、本当に犯罪者が主役のドラマだったんだな、と改めて感じてきた。
雪穂はもうはじめから最低の女だと思っていて、いろいろ感じる所はあれど、今もその気持ちは変わらないんですが。亮司の方は巻き込まれつつも常に自分が最終的に手を下している最低な男だけど、雪穂ほど嫌悪の感情が働かないんだよね。

それって多分1話冒頭で、死ぬ事を知っているからじゃないかとも思う。来週の予告で「雪穂にとって邪魔なのは笹垣と俺だ」といっている通り、亮司にはもう己の感情っていうものがない訳で。雪穂にとって邪魔な人間を殺す、という目的のみで行動してる。それが例え自分であったとしても。

笹垣は、相当過去に突っ込んできたから、雪穂と亮司が本当に守ってきたものがうっすらと見えてきたようだね。ただ捕まえてやるという気持ちだけで突っ走ってきた笹垣に比べて今回救いのようなオーラが出てた。
もっと早くに気づいてくれたら、ここまで泥沼化しなかったかもしれないけどな。

今回、典子に礼子にと演技が神がかっていたけど、弥生子ママも登場シーンが少ない中、ラストで司書さんの「私、あの子のこと大好きだったんです・・・!」の言葉に「あの子賢くて優しくていい子だったでしょう・・・!?」と枷が外れたように泣くシーンは圧巻だった。辛すぎるな。
今まで亮司を追う人間しか弥生子の元にはこなかったけれど、初めてあの子のこと大好きで心配でといってくれる人間が現れて、やっと感情が動いたかのようだった。

ところで。1話冒頭のシーン、現時点で見るとかなりきます。
リアルタイムで見ていた時は、切なくはあったけど、やっぱりそれだけで。今見返すしてみると、今までの事が走馬灯のように蘇って来て、涙出る。このままじゃ最終回はどうなるのでしょうか。
あ あ ・・・ つ ら い。