na2kox's diary

熱しやすく冷めやすい人間の生産性のないくだらない日々を綴る備忘録です。

世界を変えるのは、破壊か。祈りか。

MW-ムウ- [DVD]

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スピード感と緊張感があってエンタテインメント作品として面白かった。
凝った作りで、丁寧に作られていて、日本でもここまで出来るようになったんだなぁ、としみじみ感じた。突っ込みどころは多々あるが、思ったほどグロくないし、わかりやすく作られた作品。
多分これ原作読まないで映画を見た方が正解なんだと思います。原作読んで、映画を見るとぬあおおおという気持ちになるだろうからです。なんせ原作で重要視されている「部分」がすっぽり抜けているからです。原作・手塚治虫というより、原案・手塚治虫という気持ちで見た方がいいんだろうと思う。
色々語弊はあるかと思いますが、壮絶なSと壮絶なMの2人のお話だと思いました。
賀来を助けて微量のMWを吸ってしまった結城。後遺症が残り命が短い、だからこそ開発した者への復讐を企てるというのは理解できるっちゃー理解できるのだが、関係のない人間までいとも簡単に殺め、世界滅亡を企てるという・・・そこまでやる意味ってという根本的な所が理解できなかった。賀来と同じく「なんでそこまでやるんだよ・・・」が頭の中で回る感じ。でも、多分理解できなくて正解なんだろうね。本物の殺人鬼になってしまったんだから。そこまで追い詰めた「MWの恐ろしさ」という象徴ともとれる存在なんでしょう。玉木宏が痩せ過ぎて骨のようで(特に顔)その点は恐ろしかったといえば恐ろしかったが。こういう役はおいしいよなぁ・・・。まぁ私は、結城には同情も魅力も別に感じませんでしたが。

賀来に関しては、原作にある同性愛的要素が脚本上では表現されてないからか、なぜ神父である身で結城の悪に加担してしまうのか、「命を助けてくれたから」位では理由が若干弱かった。なぜ結城にそこまで固執するのか説得力に欠ける。「加担」しているわけだから。とはいえ、山田の演技力によって、ああ・・・賀来って結城に並々ならぬ想いを抱いてるんだろうな・・・ってのが見え隠れするから、ほんのりわかってしまうんだけど。

ただ、「俺と一緒に逃げよう・・・」とか、「お前さえいればいいんだ」とか、神父でありながら子供たちは全くスルーで残念でならない。映画で結城に焦点をあげてるから仕方ないのかもしれませんが、山田演じる賀来の人間性が薄すぎる。薄っぺらで本当にもったいない!もっと作りこんだ賀来だったら!それを山田がもっと作りこんで賀来を演じたらどうなってたか!もっといい賀来を見れたかと思うと残念でならない。山田の凄まじいまでの演技力でもっといいものができたと思うのに。すっごくもったいない。

しかしこの脚本じゃこれが限界なわけで。インタビューで原作読まずに脚本読んで、なぜここまで結城に固執するのかわからないと山田が言ってたけど、そりゃ困惑するわ。それをここまで演じた山田はやっぱり凄い。だからこそ!もっとさぁ!勿体無い!という延々ループ。
相変わらず横顔の壮絶な美しさは健在でしたが、個人的にはもっと神父さんな山田を見たかったよ。それも勿体無いよ(勿体無い祭り)
しかし、常に苦悩してる、殴る蹴るの暴行を受ける、川に投げ飛ばされるとドSな山田ファンにはもってこいの映画だと思いました。


ここまで書いといてあれですが、「あれ、玉木宏石橋凌のお話でしたっけ」と見終わった後に思うほど石橋凌の出番が多かったです。久しぶりに見ましたけど上半身の中年太りに泣いた。
そして、主題歌があまりに場違いすぎて泣けました。大人の事情ですか。

とりあえず映画本編に関しては、見る前に色々と噂は聞いてたので、
心して見ましたが・・・面白かったです、私は。こういう作品好きですね。
前売り特典の神父様クロスキーリングを頂いて、公開後また見に行きたいです。